●40代から激減する毛細血管が「老い」を加速させる
毛細血管は、加齢とともに減少していくことは前回お話ししました。
20代をピークに、40代から徐々に減少し始め、60代になると20代と比べ40%もの毛細血管が失われるといわれています。
●血管は肌へ“美容液”を届けている
血管と見た目の老化の関係は、血管が全身の皮膚に必要な栄養や酸素、水分を運び、同時に老廃物を回収する働きを行っているからです。
血管には、「動脈」「静脈」「毛細血管」の3種類があります。
その中でも血管全体の99%を占めているのは毛細血管。
「動脈」と「静脈」の間をつなぎ、動脈からは栄養素や酸素、水分を受け取り、静脈へ細胞から回収した老廃物や二酸化炭素を受け渡しています。
皮膚の下には毛細血管が隙間なく張り巡らされ、皮膚の機能と働きと生まれ変わりをサポート。
血管は、体の内側から肌を美しく保つための「美容液」を届ける役目を担っていて、血管年齢が若いほど、血管がしなやかに広がり、血流もよくなって血液がより多く、皮膚のすみずみまで届くことから、肌の状態もよくなるのです。
これが、加齢とともに、全身へ血液を運ぶ動脈の壁は厚く硬化してしなやかさを失っていきます。
血管の老化、すなわち動脈硬化です。
動脈硬化が進行すると、血流が悪くなり、肌への美容液の供給が滞るようになり、みるみる老化するのです。
「顔の老化」は、体内の血管が老化することから始まります。
では、どう対処していけば好いのでしょうか?
●「糖化」「酸化」リスク
血管を若返らせるためには、血管を劣化させるような習慣をまずは改める必要があります。
血管にダメージを与えて老化させる大きな要因は2つあり、1つは「糖化」、もう1つは「酸化」です。
「老いる人の習慣」としてよくあるのが、次の3つ。
1.「コーヒー、紅茶には砂糖を欠かさない」
2.「購入するペットボトルは甘い清涼飲料水」
3.「朝食は、頭の働きをよくするために甘い菓子パンを食べる」
砂糖や清涼飲料水、菓子パンには多くの糖質が含まれていて、この習慣は、血糖値を急激に上げて血管を「酸化」させてしまうのです。
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の量を示し、食事で摂取された糖質が消化・分解されるとブドウ糖となって血管内に送り込まれるため、血糖値が上昇。
血糖値が上がると、すい臓から「インスリン」という血糖値を下げる働きをするホルモンが分泌されます。
多量の糖質を一気に摂ることで、血糖値の上がり方も急激になり、分泌されるインスリンの量も増えるため、今度は一気に血糖値が下がりやすくなります。
このように、短時間のうちに血糖値の乱高下が起こることを「血糖値スパイク」といいます。
この血糖値スパイクが繰り返されることで、血管内の細胞には大量の「活性酸素」が発生。
活性酸素は細胞を強力に酸化させ、ボロボロに傷つけ、劣化させてしまいます。
血管が傷つく、傷ついた血管が修復……。
この繰り返しが、血管内の壁を厚くさせ、動脈硬化の原因となっていくのです。
●最強の老化物質「AGEs」が体を破壊
血糖値が異常に高い状態を「高血糖」といい、この状態を繰り返すことが血管の老化を進行させています。
血管の主要な材料は、たんぱく質です。
血液中に多量のブドウ糖があふれている高血糖状態が繰り返されると、このブドウ糖と血管壁のたんぱく質が結びつき、「糖化」という現象を起こします。
血管壁に糖化が起こると、動脈硬化が進行してしまうのです。
糖化反応で変性したたんぱく質は、「AGEs:エイジーイーズ(終末糖化産物)」と呼ばれます。
AGEsは血管だけでなく、体のあちこちで発生、蓄積され、酸化ストレスによって体内をどんどん老化させるのです。
●「甘いもの好きほど、見た目が老ける」
AGEsが肌に発生すれば、肌のコラーゲンに変性を起こして弾力を失わせ、しわ、たるみが増加。
血管の動脈硬化との相乗効果で激しく老化を加速させるのが、酸化と糖化となるのです。
また、AEGsの蓄積によってがんや認知症のリスクが上がるともいわれています。
それらを防ぐためにも、日常的に糖質が控えめな食事を心がけることが必要です。
何をどう食べると血糖値が上がりにくくなって、何が血糖値スパイクを起こすのか?
みなさんもそれを頭に入れ、老いを食い止め、いつまでも若々しく過ごしていきましょう。