2020年の春から、新型コロナウイルスが世界中の大問題となりました。
多くの人が不安にかられ、2022年の今も収まるところを知りません。
こうなるとひとりひとりが、新型コロナウイルスに負けないよう、免疫力をアップするしかありません。
私自身も、免疫力を高める大切さをずっと伝え続けてきていますが、さまざまなメディアでも「免疫力をアップするには」ということが論じられています。
では、免疫の基本となるのは、何なのでしょうか。
免疫反応の中心のひとつはリンパ球で、このリンパ球が活発に働かなければ、免疫力はアップしません。
このリンパ球を活発にするためのエネルギー源(栄養分)は、実は生魚、生卵に多いグルタミンが、リンパ球を活発にします。
つまり腸管免疫力を高めるために、一番意識して摂りたい成分は「グルタミン」です。
●体が弱った時は食事からの摂取が必須
グルタミンは、タンパク質を構成するアミノ酸の一種で、食品では、生魚、生肉、生卵、発芽大麦などに豊富に含まれています。
私たちの体が健康な状態であれば、体の中にある他のアミノ酸や筋肉などのタンパク質を使って、必要な量のグルタミンを合成できます。
私たちの体の中では毎日、この合成がおこなわれています。
しかし、風邪やインフルエンザなどによる発熱、無理なダイエットなどによる栄養不足、がんなどの重い病気では、体内で必要な量を合成できなくなります。
さらに、このような状態では、体が筋肉を崩壊させてグルタミンを作ろうとするので、健康維持のために大切な筋肉までもが崩壊するリスクが生じます。
●グルタミンの働き
①小腸粘膜細胞の最大のエネルギー源
②大腸粘膜上皮細胞で2番目に重要なエネルギー源
③リンパ球などの免疫細胞の発育と増殖を促し免疫力を高める。
小腸には免疫を担う全身のリンパ球の60パーセント以上が集中しています。
その人体最大の免疫器官である腸を動かす栄養分となり、さらにリンパ球そのものの栄養分にもなるのが、グルタミンです。
そのため、体内のグルタミンが不足すると、免疫力も低下してしまいます。
逆に、グルタミンを意識して摂っていると、病原菌の侵入などの異常事態が起こったときにも免疫機能が活発に働き、病気になりにくいのです。
●グルタミンと一緒に摂りたいグルタミン酸
食事から摂取したグルタミンは、小腸で吸収され、免疫機能が集中する小腸粘膜細胞でエネルギー源として使われます。
グルタミンが全身の血液循環に入ることはほとんどなく、腸以外の組織では利用されないのです。
そして、グルタミンとともに働くのが、名前がよく似ている「グルタミン酸」です。
グルタミン酸は、小腸の酵素などによってグルタミンからも分解されますが、食品では、昆布、鰹節、干ししいたけなどに含まれていて、グルタミンと一緒に摂ると、腸管の働きがますます高まります。
●1日にグルタミンはどれくらい必要?
通常の毎日の食事で摂取できるグルタミン量は、1日にたった5グラムほどにすぎないそうです。
毎日の食事で意識的にグルタミンを摂り、体内にあるグルタミンの量(血液中のグルタミン濃度)を維持することが、腸管の免疫機能を高め、それをキープするために大切なのです。
●グルタミンも補給できるタンパク質の多い食べ物
グルタミンを多く含む食品は、生魚、生肉、生卵、発芽大麦などの、タンパク質を多く含む食品群ですが、グルタミンは40度以上の熱を加えると、成分が変性するため、生または生に近い状態で摂取するのがおすすめです。
●魚も卵も「生」で食べるのがおすすめ
牛や豚などの動物の脂は低温で固まってしまいますが、魚は冷たい水の中でも泳ぐため脂肪が固まらない性質があります。
魚の身には良質のタンパク質やカルシウム、ビタミンが多く含まれ、腸の働きをよくしたり、リンパ球の栄養分となるグルタミンも多く含まれていて、魚の油もグルタミンも、熱に弱いので生で食べるのがおすすめです。
グルタミンは腸を動かすエネルギーになるだけでなく、白血球の中にあるリンパ球の栄養分なので、免疫力の増進にも大きな役割を果たしています。
いかがでしたか?
腸の健康を意識して、熱を加えずに生魚や生卵を摂取し、免疫の基本であるリンパ球を活発にしていきましょう!